人それぞれに海外旅行の楽しさは違うでしょうが、旅はどんな人にも幸せをもたらしてくれると思います。ただ、その楽しい旅も安全を前提としてることは言わずもがなです。トラブルに遭うと、瞬時に旅行の楽しさは消えてしまい、後始末に貴重な時間を取られることもあるでしょう。ここでは海外旅行の初心者が安全を保つ工夫についてアドバイスをします。
賢い人とは多くのことを知る人ではなく、大事なことを知る人である (アイスキュロス BC425-456 ギリシャ 詩人)
どうやって安全を保てばいいの?
海外旅行の経験を積むことに勝る対策はないでしょう。我々日本人は世界の中でも飛び抜けて安全な日常の中にいます。外国に出たときに「ここは日本ではない」という緊張感を持って、一方で不安なことが起っても落ち着いて振舞えるようになることが大切です。
安全を守る方法は最後はそれぞれの自分スタイルになると思います。改良はされていきますが、自分のスタイルを決めて、いつも同じパターンで行動できるよう心がけるといいと思います。旅行中に、自分がどんな振る舞いをしていても自分のお金や貴重品がどこにどんな状態にあるのか無意識に把握できている。そうすると、旅行中に落ち着きが増して、自分の持ち物がどこにあるか探すことがなくなり、物やお金に変化はないか、健康状態についても常に把握できるようになります。何度か海外旅行を重ねるうちに、自分なりの安全対策をルーティンワークとして自然に確立していくということです。
大切なものは何か
何はともあれ、「命」が一番大切です。
① 自分の命 : 「君子危うきに近寄らず」
② パスポートと航空券 : パスポートと航空券があれば、いざとなれば帰国できます
③ 時間 : 旅行における何もしない(贅沢な)時間も貴重な休暇からひねり出した時間
④ カードとお金 : もちろん、お金は大切ですが、代わりが用意できます
⑤ 持ち物 : 大切な持ち物はノートパソコン、カメラくらい。あとのものは現地で買えます
基本的な実践
① 国、地域で異なる危険性
行きたくない国 : 私の経験に基づく簡単な整理は、A. 政治的に日本との関係が悪化している国(中国、韓国)、B. 元来治安のよくない国(フィリピン)、C. 事件により治安が悪化(香港)、D. 開発途上にあり、治安が落ち着くにはもう少し経済力が必要な国(インド、バングラデシュ、パキスタン、ミャンマー、カンボジア、ラオス)~ これらの国への訪問についてはある程度海外旅行の経験を積むまでは避けたほうが良いと思います。
正確な情報は、外務省の渡航先安全情報が有用です。ただし、こちらはより厳しい評価です。
(外務省の安全ホームページ) https://www.anzen.mofa.go.jp/
② 派手な服装は控える
・身なりは、現地並みとは言わなくとも、現地の人たちから浮き上がらない程度に・・・
・西欧の都市部でスカート姿の若い女性を見かけることはあまりありません・・・
・ジャケットのボタン付きの内ポケットは安心できます。仕事などで財布を持ち歩く必要があるときには、そのポケットに長財布を仕舞います・・・
③ 貴重品入れ
ここでいう貴重品とは、パスポート、日本円、現地通貨、航空券(メールのコピーですから本当は貴重品ではありませんが・・)、数枚のクレジットカードです。
旅行グッズのところでも紹介しますが、これらの貴重品は、胴巻きスタイルと首からぶら下げるタイプの2つの貴重品入れに分割して入れています。その他、パンツの横ポケットの前側に1枚の高額札(1万円札)を入れておく隠し内ポケットを縫い付けています。出かけて街中で使うような少額の現地通貨はポケットに直接、コインはコインケースに入れています。
ベトナムなど一部の国では現地通貨が分厚い札束となり、通常の財布では収まりません。100円ショップで買ったチャック付きの小物入れに現地通貨を入れて財布として使っています。
④ 旅の荷物
・バッグには鍵をかけます。私は東南アジア旅行ではスーツケースを使わず(これは好みの問題ですが・・)、テント生地のザックに荷物を詰めて行きます。このザックの金属製のファスナーのつまみにダイヤルキーを掛けています。また、ザックには、この他、ワイヤー付のダイヤルキーをつけ、荷物から離れざるを得ない時には、自転車を留めるときのように、ワイヤーを路上の固定物に留めてバッグから離れるようにしています。ダイヤルキーを使うのは、失くす可能性のある鍵を使わずに錠を開け閉めできるからです。
・荷物を手から離す際、空港でのチェックイン、両替、ATM端末操作、SIMショップ、タクシー待ちなどでは、必ず足など体の一部を荷物に触れるようにして、持ち物から注意が逸れても、置き引きに会うことのないようにしています。
・TSAキーも万全ではないようです。TSAキーとは米国当局が定めた公認の鍵の名称です。空港のセキュリティ担当は飛行の安全確保の目的で必要に応じて、持ち主の承諾なしで預け荷物を開けて内容物を検査することを許されています。TSAキーを装備したスーツケースの場合、特殊なTSA専用の合鍵を使って、持ち主毎にもちろん鍵は異なりますが、錠前を壊すことなくスーツケースを開け閉めできます。ところが人の世の常、裏には裏があるもので、このTSA合鍵のコピーを使って空港内で盗難が起こっているそうです。心配してもきりがありませんから、私はTSAのダイアル鍵を使用しています。
⑤ 大金は持ち歩かず
・海外旅行に持参する予備のお金は、現金は必要最小限にしてクレジットカード等でカバーしています。
・気をつけていたつもりでも、ひったくりや切り裂きジャックに遭うと、ハンドバッグ(ポシェット)の中のものはすべて失うことになりますので、大金は分散しておくよう心がけます。中が透けて見えるビニール製のバッグは犯罪を誘発する可能性がありますので避けましょう。
・滞在地ではホテルの部屋にあるセフティボックスやチェックインカウンターのデポジットサービス(貴重品・現金預かり)を利用して、所持金のすべては持ち歩かないようにします。また、現地行動で身につけていくお金は首掛けの貴重品入れの他、数か所に分割します。
・ジャケットのときには財布はボタンを掛けて内ポケットに・・スリを予防できます。
・クレジットカードは紛失時に即時対応できるよう連絡先などの控えを忘れずに記録しておきましょう。
⑥ 金銭的な余裕があれば★4以上のホテルを選ぼう
・戦争状態にでもならない限りは、ホテルは現地で安全を保障する最後の待避所です。夜寝る場所でもあり、旅行者にとってホテルの安全が保障されていると安心できます。ホテルの星の数はもともと設備のグレードを表すものですから、厳密に言えば安全とは無関係ですが、星の数が多ければ安全性は増すと考えて良いでしょう。ホテルのセキュリティもスタッフの質も、星4以上であれば、十分に安心できるホテルと言えます。星3のホテルでも問題はないでしょう。
・地方都市やエマージング国に行くと星の数の多いホテルは減り、本当の田舎の街では星なしが普通になります。日本と同じで一般に田舎は都会と違って犯罪の危険性は少ないと思います。汚く、不衛生の度合いは増していきますが、そういったホテルしかありません。旅慣れると、海外で田舎に滞在するのも魅力的だと思うようになります。
・西欧の主要都市滞在では、主要駅そばの旧市街にある安宿は周囲の環境を含めて、かなり危険(経験)だと思ってください。