海外旅行に行きたい! ロンドン郊外への小旅行。今回はイングランド国教会の総本山カンタベリー大聖堂です。
求めよ、さらば与えられん。たずねよ、さらば見出されん。門を叩け、さらば開かれん。 キリスト
ロンドン郊外、東の方向、テムズ川河口の南東にカンタベリーの町があります。カンタベリー大聖堂については、日本人だけなのかもしれませんが、学校の歴史で聴き覚えのある名前ですので、私はロンドン旅行の際に一度訪ねてみたいと思い行きました。ロンドンは見るところが多いので、観光ガイドの紹介では隅の方に置かれています。この町にはロンドンから電車で簡単に行くことができます。この町から更に南東に進むとドーバーの町です。
イングランド国教会
イングランド国教会(Church of England)は、16世紀にイングランド王国にできたキリスト教会の名称です。バチカン(カトリック)からは独立していますが、教義はカトリックに近いと言われています。イギリスの国王(現在はエリザベス女王)が(Defender of the Faith:私流の訳は”パトロン”)として国教会のトップの位置にいます。政教分離ではありません。イングランド国教会は42の教区で構成され、それぞれの教区には主教(bishop:トップ)がいます。カンタベリーとヨークは、主教のトップと副として、2人を大主教(archbishop)と呼んでおり、全イングランドの南半分と北半分の教区を監督しています。主教の内、序列上位の21人の主教はイギリスの貴族院議員を務めています。
カンタベリー
カンタベリーはロンドンから東にテムズ川を下った河口部の南東にあります。更に南東に少し進むとフランスとの海路のゲートとなっているドーバーの町があります。ドーバーは大陸とブリテン島に挟まれた海峡の名前ともなっていますが、正面の海はイギリスと大陸間の海峡幅が一番狭くなっているところです。この地域一帯は現代ではケント州と言います。ドーバーには大陸との貿易やフェリー発着の港があり、ユーロトンネルの入り口もあります。キリスト教がイングランドに入ってきたアングロ・サクソンの時代、ここにはケント王国があり、ローマの属領地だった時代以降、この時代も大陸からブリテン島へのゲートウェイとなっていました。ここは大陸との戦争の戦場となったり、イギリスがまだ後進の国だった頃、大陸からの宗教や文化はここを通ってブリテン島に入ってきました。そういった経過を踏まえて、当初はブリテン島への布教の足掛かりとして、「カンタベリーにローマ・カトリック教会の大聖堂が設けられた」という歴史であるようです。
カンタベリー大聖堂
カンタベリー大聖堂には、現在、イングランド貴族の最上位で、国教会のトップでもある大司教がいます。イングランドにローマ・カトリックのキリスト教が入ってきたのは4世紀です。カンタベリー大聖堂は12世紀に建設された、イギリスにおける最も古くて格式のあるキリスト教会です。ヘンリー8世の離婚問題でイングランド国教会がローマ・カトリックから分離したのが15世紀ですから、建設当初はイングランド内を束ねるバチカン傘下の大教会でした。現在ではイングランド内の全部の国教会42教区を束ねる大主教がいる教会です。
カンタベリーは小さな町ですが、大聖堂を目の当たりにすると建物が大きく、古く、立派で驚きです。世界遺産に指定されています。想像と違わず、内部は荘厳で厳粛な雰囲気です。カバー写真の神父さんが中庭で読書をされている風景はリアルです。 カンタベリー大聖堂(Home)
入場は休みなし、開場時間は10.00 – 17.00 (最終入場16.00)尚、日曜日は12:30に開場。料金は(大人)£14.0。
カンタベリーへの交通
カンタベリーへはロンドンのセント・パンクラス国際駅(St Pancras International)とビクトリア駅(Victoria)から電車が出ています。異なる線路を通ってきますので、セントパンクラス国際駅からの電車が早くて便利です。1時間に1本、所要時間1時間弱でカンタベリー・ウェスト駅に到着します。ビクトリア駅からは1時間に2本の電車があり、カンタベリー・イースト駅に到着しますが所要時間が2時間とかなり時間を要します。
ドーバーを海岸沿いに西に行くと、ブライトン(Brighton)とポーツマス(Portsmouth)の町があります。ここは英国最南端の海岸で、ロンドンからも近く、イギリスの人にとっては貴重な国内海岸リゾートです。車でカンタベリーを訪れたときには、海岸沿いに少し西に向かうのも良いかもしれません。ただし、イギリス国内に住む人ならともかく、日本から訪れてわざわざ緯度の高いところにあるイギリスのリゾートに行くのかという感じはあります。カンタベリーから南の海岸リゾートに電車で向かうのは、ロンドンかその近くまで一旦戻ることになるので、現実的ではありません。